組織のお悩みQ&A

「社員が同じミスを繰り返す…」「会議で活発な議論が生まれない…」「評価制度がイマイチ機能してない感じがする…」「部下が同じミスばかり繰り返す…」 組織運営上のあらゆるお悩みについて、100社以上を支援してきた組織コンサルタントの石川がお答えしていきます!

Vol.19 組織づくりは本当に会社の業績向上に繋がるんですか



◆◇◆ 今回のご相談内容 ◆◇◆

組織づくりを行っていくことで、本当に会社の業績の向上にもつながっていくものでしょうか?

 
◆◇◆ 石川からのご回答 ◆◇◆


組織づくりの成果は、例えば販売上の施策ほど、分かりやすくすぐに結果が出ません。

短期間で売上につながらないという意味でも、因果関係がはっきりしない、という意味でもそうです。


例えば、粗利100円の商品が100個売れて、利益が1万円だったところを、値下げをして粗利90円で、商品が200個売れるようになった、利益が1.8万円になった・・・というような販売の施策は、分かりやすく結果が見えます。


しかし、例えば管理職研修を行って、管理職の能力が増した、確かに以前よりも部下からの評判も良くなっている、部下も以前よりもイキイキと働いているようだ・・・というところから、売上・利益が即伸長するのかというと、やはりそうはいきません。


特に1年という「期」で見てみると、「今年行った組織づくりへの投資が、今年のうちに回収された」となるのはほとんど稀だろうと思います。


しかしそれでも、私は「組織づくりは業績向上につながりますよ」と確信を持って言うことができます。

 
■ 組織づくりの成果が出やすい指標

組織づくりの成果が出やすい指標は、売上や利益そのもののよりも、まずは「生産性」という面です。


2020年現在、「働き方改革」という言葉は引き続き流行していますが、働き方改革の基本的な主旨は生産性の向上にあるでしょう。

 

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生産性は、基本的に「利益÷労働時間」で考えることができます。この指標は、経営者にとっても社員にとっても、誰しもが「高めたい」と思える指標です。


今出している1億円の利益を、100,00時間で生み出しているとしたら、単純計算で時給1万円だということになります。

もし、同じ1億円を、80,000時間で生み出せるようになったら、時給は1.25万円になります。

 

この創出された「時給増加分」は、例えば有給消化率を高めることに使えるかもしれませんし、労働時間そのものは維持して、新しい利益創出に使うこともできるかもしれません。

 

■ 生産性向上によるメリットを描く

ここで例えば、有給消化率の向上にその余剰時間を当てたとします。

心身を休めることができて健康度が高まったり、またそれによって業務への集中度が高まったり…というようなことは十二分にあり得ることです。

 

そしてまた、有給消化率の向上によって社員の満足度や会社へのロイヤリティが高まったり、離職率が低下する、ということも十二分にあり得ます。

離職率が低下すれば、採用コストを下げることができ、より会社の利益を押し上げることにもつながります。


また、平均在職年数が向上することで、スキルの内部蓄積がより効率的に行われるようになり、売上の伸長に寄与することもあります。

そうすれば、株主や役員、社員へ金銭的に還元する余裕も増えてくることになります。


このようなストーリーを全社的に共有し、「みんなで生産性を高めていこう!」とするのも、組織づくりの一つの側面です。

 

■因果関係の仮説を整理してみる

「管理職に向けた部下指導力研修を行う」などの組織づくりの一つの施策も、同じように考えていくことができます。


管理職研修を行えば、即売上が伸びる、ということではないでしょう。


しかし、管理職としての能力が高まることで、部下がよりイキイキと仕事に取り組むようになり、成果が出やすくなる、離職率が低下し採用コストが低下する・・・といったことは、十分に因果関係としては考えられます。

 


組織づくりには

「管理職研修を行う」
「評価制度を改良する」
就業規則を改定する」

など様々な面がありますが、どれも売上向上に直結するようなものではありません。


しかしだからといって、本当に業績向上に貢献しないのかというとそんなこともありません。むしろ、その因果関係の仮説を整理して、自社なりのBSC(バランス・スコア・カード)を作成していくことが重要だったりもします。


このBSCの整理があることで、例えば「どのような教育投資が必要なのか」といったこともスッキリと把握できるようになってくるでしょう。

 


実際に会社の業績そのものは、内部の組織づくりだけの影響ではなく、当たり前ですが、市場環境の影響を大きく受けます。

 

ですから「トレーニングをすれば 本当に金メダルが取れるのか?」という問いには100%答えることはできないのと同じように、「組織づくりをすれば必ず業績は向上するのか?」という問いに、100%答えることはできません。


しかし「トレーニングをすれば、金メダルを取れる確率は上がるのか?」という問いには自信を持って、「金メダルを取るためにもトレーニングを積みましょう」と答えられるように、「業績向上ためにも、組織づくりを進めていきましょう」と自信を持って答えることができます。

 


もしスポーツに例えるとしたら、会社の外に向けた(顧客や市場に向けた)マーケティング上の施策は、スポーツでいう、相手チームの分析や、チーム戦術の検討にあたります。


そして会社の内側に向けた(社員に向けた)組織づくりの施策は、スポーツでいう、筋トレや、基礎練習、栄養管理などにあたる、ということができるでしょう。


組織づくり”だけ”をしていても会社の業績が向上することはありませんが、組織づくりも丁寧に行っていくことで、確実に組織は強くなり、それは業績向上にもつながることは間違いありません。

 


ご質問に対する回答は以上となります。

いつも最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

 

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[Vol.19 2020/01/07配信号、執筆:石川英明]