組織のお悩みQ&A

「社員が同じミスを繰り返す…」「会議で活発な議論が生まれない…」「評価制度がイマイチ機能してない感じがする…」「部下が同じミスばかり繰り返す…」 組織運営上のあらゆるお悩みについて、100社以上を支援してきた組織コンサルタントの石川がお答えしていきます!

Vol.25 社員に自ら学び成長する人材になってほしい



◆◇◆ 今回のご相談内容 ◆◇◆

社員に成長して欲しいと思いますが、社員自身は「成長したい」と思って頑張っているように見られない人間が多くいます。

どうしたら自分からどんどん学んでいくような人材になってくれるのでしょうか。

 

口を酸っぱくして何度も学習の重要性を説いても、それで社員が急に勤勉になる・・・ということは残念ながらありませんでした。

 
◆◇◆ 石川からのご回答 ◆◇◆

経営者の方は「学びの成功体験」を積まれている方が多いなと思います。


例えば、一営業マンの時代に、自分なりに大きな目標に挑戦してみる。

上手くいかなかったときに、本屋に行って「営業で成績を残す方法」という本を読んでみる。読んでみたことを実際に使ってみる。

それで売上を伸ばしたことがある。


そういう成功体験があれば「学んでいくものだ」というのが、習慣として身についていることが多いと思います。

 

■ 学校の勉強を嫌々やってきた人たち

これは、普通に多くの日本人が経験していることかと思いますが、「学校の勉強が面白くない」ということですね。

楽しくない宿題、やる意味の分からない教科・・・・それを何年も何年も繰り返し続ける・・・


そんな風にして、学習や学び、成長といったことへの拒否感が染みついている人も多いと思います。


■ 仕事へのロイヤリティの低さ

また、アルバイト感覚で仕事をしている人もたくさんいます。


ここで言っているアルバイト感覚というのは

「時給感覚」
「短期的な損得感覚」

で仕事をするということです。


アルバイトですから、仕事は大変よりも楽な方がいい。自分の貴重な時間を使って、
時給ももらえない時間で「アルバイト時の仕事の質を向上させるために勉強する」なんてもってのほかです。損をしますから。


仕事に対するこういった損得勘定の感覚を持っている人も大勢います。

 

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■ 成長しようとしない社員

 【勉強嫌い】×【仕事の損得勘定】によって「自分からは全く成長しようとしない社員」が生まれます。

度合いは人によって差があるでしょうが、こういった人材は、日本の中でそれなりの割合で存在していると言っていいと思います。


このような人たちに、言葉だけで「勉強しなさい!」「成長が大事だ!」と言っても、これはなかなか変わってくれません。

「勉強なんて楽しくないことはしたくない」「なんで、給料が増えるわけでもないのに勉強までしないといけないんだ」「業務時間外に勉強するなんてもってのほかだ」と思われておしまいです。


では、このような人材たちに勉強好き、成長好きになってもらうにはどうしたらよいでしょうか?

 

■ 理屈での説明の面

まず「仕事」というのが、どういうものかについて、説明をしておくというのはあります。

アルバイトの仕事と、正社員の仕事は、違うものです。だから給与や待遇に違いがあるわけですが、その違いをちゃんと理解していない人材たちは普通にいます。


【アルバイトの仕事】

・言われたことをやればOK
・責任は基本的に指示を出す側にある

⇒「Do」だけしていればOK


【正社員の仕事】

・何をすべきかを考えるのも仕事
・ゴール達成のための段取りを考えるのも仕事
・業務の品質を改善していくのも仕事
・改善に必要な学習をしていくのも仕事
・連携やチームワークにも責任を持つのも仕事

⇒「Do」だけでなく「Think」「Plan」「Learn」といったことも仕事であるということ


こういった話を、例えば私は新人研修をやらせていただく際などに受講者にお伝えしていますが「仕事ってそうだったのか!」という反応をされる方が少なからずいます。

 

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■ 成長の喜びを感じてもらう

成長、というのは人間の根源的な喜びの一つだと思います。趣味でもなんでも「成長したな」と実感すると、嬉しいものです。


英会話が好きな人であれば「あ、前よりもスラスラ会話できるようになってる!」と思えた時は嬉しいものでしょうし、ジョギングが好きな人であれば「あ、前より同じ距離をラクに走り切れるようになったな」と実感出来たら、その時は嬉しいものだと思います。


仕事においてもこういった「成長を実感する」という機会はとても大切です。

「学べ!成長しろ!」という前に、本人が成長を実感できる機会を提供していくことが効果的です。


それはつまり「振り返りの時間を持つ」ということです。


半年に一度でも「半年前よりも少しでも上達したこと、できるようになったこと」などを振り返ります。それによって「成長する喜び」を感じる機会を増やすのです。 

 

■ 勝手に学びだす

成長する喜びを実感するようになると、人間は欲張りなもので「もっと成長の喜びを感じたい」と思うようになってきます。

そうなったときに、仕事で必要となる領域を自ら見つけてきて、どんどんと学んでいくサイクルが回り始めます。


「お客さんと上手くしゃべりたいな。あ、プレゼンについて学んでみよう」

「もっと段取り上手になりたいな。そうだ、段取りの本があったな」

 

こうなってくればもうしめたものですね。

まさに「成長欲求の高い人材」になっているわけですから。

 

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上司や、経営者が、この「どんどんと学んでいくサイクル」が回っていくことを効果的に支援する方法もあります。

それを実践することでいち早く、成長欲求の高い人材へとシフトしていきます。


上司や経営者が、支援できることの一つは「褒める」ことです。

「前と比べて、●●が上達した」ということを観察し、フィードバックするのです。本人が自分で自分の成長の振り返りをすることも大切ですが、周囲からのこういったフィードバックも意欲を刺激します。

逆に、成長を願って「出来てないところをダメ出しする」という接し方ばかりしていると「楽しくなかった学校の勉強」を思い出してしまい、成長意欲を高めるどころか、下げてしまう可能性があります。


褒めることに加えてもう一つ効果的な支援は「問いかける」ことです。

「これはどうしたら上手くいくだろう?」

「この案件のお客さんの●●さんは、どういう基準で考えているだろう?」

などと、”問い”を出されると、人間はついついて考えだしてしまうものです。


自分なりに考えてみることによって、人の成長は加速します。


他にも「後押しする」とか「失敗したときに、そこから学び取れるようにサポートする」といった支援も効果的です。


こういった手間ひまをかけて「勝手に学んでいってしまう自律人材」になっていってしまうと、あとは楽ちんです。

そのような人材が増えていけば、会社のためにもなるでしょう。

 


ご質問に対する回答は以上となります。

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[Vol.25 2020/02/18配信号、執筆:石川英明]

 

Vol.24 正直立派なビジョンを描く自信がありません



◆◇◆ 今回のご相談内容 ◆◇◆

<土木関連企業 社員数25名 N社長>


ホームページを拝見してビジョンの大切さがとてもよく分かりました。しかし、そんなに立派なビジョンというものがあるわけではないのが正直なところです。

本屋で並んでいる経営者の方の著書も、読むと「立派なことが書いてあるな」と思いますが、正直、自分自身が実践できるかというと「・・・」というところです。


全身全霊で社員の幸せのために生きようというのも難しいですし、自社を世界的な大企業に育てようという意気込みもあるわけではありません。

このような人間が、社長をやっていますが、どんなアドバイスがありますでしょうか?

  
◆◇◆ 石川からのご回答 ◆◇◆

N社長は、とても「自己認知力」の高い方ですね。すごいと思います。

なかなか自分自身で「実はあんまりビジョンがないんだ」ということを認められない人も多いものですが、ちゃんと自分自身を客観視できていらっしゃるというのは、本当にすごいことだと思います。


そして、このようなお悩みは、実は、何人もの経営者の方から「打ち明けられて」きたことです。

そして、そのたびに私は「そんな立派じゃなくて、全然いいと思いますよ」ということを申し上げています。


勿論、自社を世界的大企業に成長させようといった経営者の方は素晴らしいです。

同時に、例えば、地域で30年間雇用を生み出し続けている、ということもまた素晴らしいことです。


「野球の楽しみ方」は、大リーグで活躍する選手もいれば、日本のプロ野球で活躍する人もいますし、草野球を楽しむ人も、少年野球のコーチをやる人も、もちろん観客として野球を楽しむこともあるわけで、「野球に関わったら全員大リーグを目指さなければならない」なんてことはないわけです。


経営も同じです。

社長になったからには、必ず世界的大企業にしようとしなければならないわけではありません。

自分の価値観や、ライフスタイルに合った「経営」をしていけばいいわけですし、その方がずっと上手くいくのです。

 

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■ 自分が好きなことに専念した社長の例

これまで出会った経営者の方で、例えば「部下の育成や管理といったことにやっぱり興味が持てない」という方がいらっしゃいました。

その方は、しばらくの間、採用や育成といった「内政」にとても注力をしていました。

「社長たるもの、社員の成長支援に積極的であらねばならない」というような考えがあったそうです。


実際に、本屋で並んでいる本にはそういう主張をしている本もたくさんあるわけで、そういったことの影響もあったのかもしれません。

しかし、義務感から頑張っていったものの、それほど報われる感じもなく、何よりもその「内政」の仕事は、ご本人が楽しくないのです。

それで「内政」の仕事は、「やーめた」と言って、やめられました。

 

そして「外交」の仕事、つまり、新規顧客開拓の営業活動や、プロジェクトの陣頭指揮といった仕事に専念していくようになりました。

そうすると、ご本人がイキイキとしてくるのです。楽しいわけです。


最初のうちは、周囲も「今までの社長」を期待しますから、もっと自分たちに関わって欲しい、アドバイスして欲しい、前みたいに褒めて欲しい・・・といった禁断症状的なものも出ていましたが、それもそのうちに収束して「自分のことは自分でやる」と、むしろ自立した社員たちに成長していきました。

そして、やはり社長が楽しそうだと、会社の雰囲気も明るくなります。


こういった例に触れると、「ああ、本当に経営に正解の型なんてないんだな」と何度も思います。

 


■ 一人になって素直な気持ちを書き出してみる

まずは、ご自分に素直に、

「こういう生活がしたい」
「こういう仕事がしたい」
「こういう会社がいい」

といったことを書き出してみることをお勧めします。

人に公表する必要はありませんので、まずは一人で書き出してみます。「経営者とはかくあるべし」ということを一旦、脇に置いてですね。


そうすると例えば「資金繰りに悩まないですむ安定した事業運営をしたいなぁ」「お客さんから感謝されると、それはやっぱり嬉しいなぁ」「社員が、ギスギスしてるのはなんか嫌なんだよなぁ」などといった、素直な気持ちのようなものが出てくるかと思います。


これぞ、ビジョンです。


私は「ビジョンの強さが大事」ということを主張していますが、この素直な気持ち、正直な欲求といったものこそが、ビジョンであると考えています。


そしてそれは誰かと比較するものでもありませんし、他人から否定されるようなものでもありません。

ただただ、「私にとっては、これが大事だ」ということです。

 

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■ 丁寧に自己開示してみる

出てきたものについて、全部が全部オープンにする必要はありませんが、社内で共有できそうなところについては、自己開示してみて欲しいと思います。

 

例えばですが、

「実は、売上をどんどん伸ばすとか(それで給料をアップするとか)っていうよりも、何年も安定して利益が出ることを大切にしているんだよね」

「実は、研修とかやりたくないんだよね。ホントは評価面談とかもしたくない。自分の成長には自分で責任を持つ大人の集団がいいなと思うんだよね」

といったことが出てくるかもしれません。


丁寧に自己開示すると、思いのほか社員は好意的に受け止めてくれることも多いのです。


ある社長さんは「会社の経営を誰かに任せて、アメリカに行きたい。理由はない。とにかく昔からの夢なんだ」ということを、社員にそんな自分勝手なわがままなことを言っていいものか、ずっと悩まれていました。

しかし、実際に丁寧にそれを自己開示したところ「え?そんなの夢なら行ってきてくださいよ!」と大変応援されて、実際に1年後にはアメリカに移住してしまいました。


丁寧で真摯な自己開示には、事態を好転させる不思議な力があるようです。

 

■ 率先してワガママを発揮する

社長も人間ですから、全てのことを完璧にこなせるわけはありません。

そして社長も人間ですから、ご自身なりの個性を勿論お持ちです。

そういったことを無視したり抑圧したりするのではなく、むしろ個性を生かして経営をしていくと、上手くいくことが多いのです。


「これはしたいけど、これはしたくない」

「これは得意だけど、これは苦手だ」

ある意味の”ワガママさ”や”弱さ”を社長から率先して開示してしまっていいのだと思います。

 

「苦手なんだから、助けて欲しい」と、頼ったりすることも経営の一つの選択肢です。

「頼られる」ということは、なかなかに嬉しいことで、モチベーションになる一つの要素でもあります。「社長から頼られている」「頼りにされている」といったことが、社員のやる気のつながることもあるのです。


「世界一の大企業にしたいとは思っていないけど、ご縁あるお客さんのために一生懸命仕事して、感謝されたいとは思っている」といったことも、本当に素晴らしいビジョンなのです。

それに共感して「そういう会社で働きたい」「自分もそう思う。それで仕事を頑張ろう」という社員が集まった会社である、ということもできるわけです。


メルマガではN社長のお気持ちをお聞きすることはできませんが、ぜひ一度素直な気持ちを書き出されてみてください。

書き出されたものをみて「経営者としてこんなんでいいんだろうか」といった否定的思考をせずに「これが私なんだ」「これでいいんだ」「これが、いいんだ」とご自身の想いをぜひ受容していただければなと思います。

 


ご質問に対する回答は以上となります。

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[Vol.24 2020/02/11配信号、執筆:石川英明]

 

Vol.23 部下の悩み相談にどこまでのるべきでしょうか



◆◇◆ 今回のご相談内容 ◆◇◆

部下から「Aさんに対して、上司から注意してください」という相談がよく持ち込まれるのですが、どのように対処したらよいでしょうか?

 
◆◇◆ 石川からのご回答 ◆◇◆

「困りごとは、誰かの頼んで解決してもらう」という習慣が染みついている人が多い現状はあると思います。


例えば小学校で「授業の邪魔をするクラスメイト」がいたとしたら、それに対処すべきは担任の先生であって、生徒たちではない、という学校が多いでしょう。

責任は先生にあるので、先生に「あの子を何とかしてください」という話が持ち込まれます。

当事者同士で話し合って解決するといった力は蓄えられてきていません。経験する機会がほとんどないからです。

 

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そのまま大人になり社会人になっていくので、会社に入っても、感覚的には学校と同じです。

「先生、あの子をどうにかしてください」が「部長、あの人をどうにかしてください」に変わるだけです。


しかしだからと言って、それをそのまま受け入れていたら、いつまで経っても「先生と生徒」のような関係から抜け出すことができず「プロとプロの関係」という感じにはなっていけません。


個人や組織の成熟性を高めていくためにも、「先生役はやりませんよ」「自分たちで話し合って解決していける大人ですよね」という態度で接していくことは大切かと思います。

 
■ ほとんど自動的に「先生役」を期待される

このいつの間にか先生役を背負わされてしまうというのは、ほとんど自動的に、無意識のうちに成立してしまいます。

ですので、かなり意識をして、それを拒否しなければ、そのまま「先生と生徒」という状態になっていくのです。


意見の違いがあるときに、ちゃんと当事者同士で話し合って解決する力を、社員自身が持てるように育成していくことが大切です。


「当事者同士で話し合って解決する」という力が磨かれていかなければ、いつまでたっても中小企業の役員たちは「簡易な家庭裁判所」みたいな役割をしなければいけなくなってしまいます。


そのまず一歩目が「私からは言わないので、直接本人に伝えてみてください」と、相談をもちかけてきた部下に返すことです。

「どうして部長から言ってくれないのですか!」というような反発が出てくることも想像されますが、それにはこう返すことが正論になります。


「もしAが正しくて、Bが間違っているのなら、それは直接Aが正しいのでAにしてくださいと、貴方自身が相手に伝えることに何の問題もないです。

そこに部長の権威みたいなものを持ちだす必要がありません。だって、Aが正しいのは論理の問題であって、権威の問題ではないわけですからね。

 

もし、AとBは正しいとか間違っているとかじゃなくて、好みの違い、価値観の違いなのだとしたら、これまた部長と言う権威の出てくる幕じゃありません。

価値観の違いはありえるわけですから、これも当事者同士で調整するべきものです」


一言一句の言葉遣いはさておき、意味内容的には、このことは前提としておくとよいかと思います。

 

■ ”議論”が下手な日本人・・・

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さて「上司から言ってもらう」方法を使えなかった社員は、仕方なく自分で相手のところに行って話し合いをするしかなくなるわけですが、、、


ここで多くの社員は不安やストレスを感じることでしょう。


「反論されるんじゃないか」
「喧嘩になるんじゃないか」
「角がたつんじゃないか。。。」
「人間関係が悪くなりはしないか。。。」


こういったことが不安になり「ならいっそ、言わずにこっちが我慢するか。。。」というような選択をしてしまうこともあるだろうと思います。

 

危険なのは「不満を相手に言わなかったのは自分の選択、自分の責任」と思わずに「上司が言ってくれないから。それで会社からダメなところがなくならないんだ」と他責的思考で処理してしまうことです。


これを防ぐためには、社員の議論力を伸ばしていけるよう、成長を支援する必要があります。

なにせ多くの社員が「議論をぶつけ合う」というようなコミュニケーションについて、ちゃんとトレーニングをしたことがないのですから、どうしてもこういう支援も必要になります。

 
■ コミュニケーションについてのコーチングをする

「じゃー、自分でAさんに言ってみてね」

「はい・・・・」

「うん、不安そうだね(笑)自分で言うとなると、何か不安なことでもあるかな?」

 

…というように、コーチングをしていきます。


「はい……いや、私から言うとなると、”それはあなたの好みでしょう。私はこのほうがやりやすい”とかって言われてしまいそうで……」

「うんうん。好みの違いだから、しょうがないって言われちゃいそうなんだね。じゃー、そのままのやり方を続けるのでいいのかな?」

「いや、、、それだとやっぱり私の方はとても困ります。すごくそれだと私の方がやりにくいので。。。」

「どこがやりにくく感じていて、どれくらい時間がかかってしまっていて、どういうやり方にしてもらえると、これくらい時間が減らせる・・・みたいなことを具体的に伝えてみたら?」

「そうですね。。。まずちょっと具体的に整理してみます。」

 

「それで、話し合いができそう?」

「……、でもやり方を変えるのは私にはメリットがあるけど、向こうにはないじゃないですか……やっぱり”今まで通りでいいじゃないか”と言われてしまいそうで。。。」

「うんうん、そりゃwin-winのほうがいいよね。相手に提示できるメリットも探してみたら?」

「はい。あ、空いた時間で、逆にAさんが苦手にしてるXをもうちょっと手伝えるとかもありそうです!ちょっと考えてみます!」

「うんうん。いい話し合いができるといいね!」

 

■ 一人一人が大人になることで、大人な組織になっていく

大切なことは、一人一人に大人になっていってもらう、成熟していってもらうことです。一人一人の意識や、コミュニケーション技術が幼いままでは、組織の成熟化は進んでいきません。


逆に、一人一人の社員が「何か問題があったら、自分たちで話し合って解決する」と思っていたら、それはとてもプロ意識の高い、成熟度の高い組織であるということができると思います。


それらを促進していくには、社員を子ども扱いしないことが大切です。

 

「大人なんだから、自分でできるでしょう」という前提で接する。

そのことによって、大人としての責任が自覚されるようになり、経験が増え、必要なコミュニケーションの技術も磨かれていくことになります。

 

「部下の相談に乗らない」ことで、組織を成熟化させていくということも、ぜひ選択肢として検討してみて頂きたいと思います。

 


ご質問に対する回答は以上となります。

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[Vol.23 2020/02/04配信号、執筆:石川英明]

 

Vol.22 心理的安全性を高めるためには



◆◇◆ 今回のご相談内容 ◆◇◆

心理的安全性というキーワードを最近よく見かけるのですが、実際に、社内で「心理的安全性を高める」と言っても、何をしたらいいのかが分かりません。

具体的な事例などあればお願いします。

 
◆◇◆ 石川からのご回答 ◆◇◆

数年前にGoogleが「心理的安全性」と言い出してから、組織づくりの世界ではこのキーワードは本当によく見るようになりました。

ある外資系企業の研修でお邪魔した際にも「イギリス人の社長が、会社の心理的安全性を高めたいと言っている」という話を人事の方から聞きましたから、日本だけでなくグローバルで注目されているキーワードなのでしょう。

 
■ 心理的安全性はまず会議の場に現れる

さて、ご質問に対してですが、

簡単に言ってしまうと、会議がうるさいくらいに活発な会社や部署であれば心理的安全性は高い方だと言えますし、「部長が発言するだけで、あとはシーンとしている」といった会議であれば、心理的安全性は低いと言えます。

会議を活性化する基本は、一人一人の意見を出すことと、議論することを分けることです。より具体的に言うと、議題に対して「自分の意見を付箋紙などに書き出す」「書き出したものを発表する」「全員分発表されてから議論する」と分けるだけで、変わってきます。
      

会議でフリーに議論をしようとすると、どうしても「稚拙な意見で怒られないだろうか」「自分の意見など聞いてもらえないのではないか」といった不安心理を持つ社員もいます。

「意見を書き出す」というステップを入れることで、この不安心理をかなり軽減することができます。「自分の意見を言ってもいいんだ」「自分の意見も尊重されるんだ」ということが体感できるようになってきます。

このことだけでも、職場の心理的安全性を高めていくことができます。
      

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■ ヒエラルキーを持った組織の中での心理的安全性

心理的安全性が高いというのは、「会議でどんなことを言っても、一旦、許容される」と一人一人の社員が思えていることです。

しかし、会社組織は基本的にはヒエラルキー構造を持っていますから「上司の意に沿わないことは言えない」とか「上司と違う意見を言って、評価を下げられても困る」といった考えや不安をもつことは、ごく自然なことです。

そういう意味では、ヒエラルキー構造のなかでは、完全に心理的安全性を担保するということはできないと言ってもいいかもしれません。
    

しかし、ヒエラルキー構造を持っていても心理的安全性が高い組織もありますし、ヒエラルキー構造がゆえにヒエラルキー下位の人たちには心理的安全性がない組織もあります。それは、どんな違いがあるのでしょうか?

結論から言うと「会議の場での発言」と「評価」がしっかり切り分けられているということです。

会議で、部長はAがいいと言った。しかし部下はBがいいと言った。色々議論をしていった結果、結論としてはAになった。

このような状況があった場合に「あの部下は、会議中に私と違う意見を言った。私に反論した。だから評価をさげてしまおう」ということが起こる、少なくとも部下から評価の傾向としてそれが感じられてしまう、ということがあると、心理的安全性は下がっていってしまいます。
    

会議の中では、喧々諤々、肩書を超えて「意見」を出し合ってよい。出た結論には従う必要はあるが、出た結論と違う意見を議論中に出したからと言って評価が下がることはない。

このような認識が、社員の中にしっかりと根付いているようだと、その会社の心理的安全性は高い状態だと言えます。

 

■ 稚拙な意見をどう取り扱うか

会議の場で「なにそんな馬鹿な意見を言ってるんだ」「なんて視野の狭い身勝手な意見だ。。。」「そもそも何を言いたいのかよく分からないぞ。。。」などと、腹が立ったり、辟易するような意見が出てくることもあるかと思います。

そのような場面で「バカなこと言うな!」とか「何を言いたいのか分からん!出直してこい!」などと返してしまうと、心理的安全性は下がってしまいます。「ああ、自分の意見は聞いてもらえないのだな」と解釈されてしまうからです。
      

こういう場合には、議論を通して「教える機会」とすることが良策です。「意見がAだというのは分かった。けれども、XやYやZという観点からも考えると、Aにはデメリットが多い。だからAを採用する可能性は低い」というような返し方をします。

そうすると、稚拙な意見を出したほうも「XやYやZという観点でも考えなきゃいけないことだったのか。勉強になったなぁ」ということになってきます。
      

もちろん時間は有限ですので、常に懇切丁寧に説明をしていられるわけでもありません。どうしても「その意見は検討に値しない。以上」で切り捨てなければいけない場面もあるでしょう。

しかし、できる限り丁寧に「教える機会」とした方が、部下の成長も早く、中長期的にみても組織の生産性を高めることができます。

そして「今の自分のレベルがどうであっても、一旦発言をすること自体は尊重されるだ」という認識が醸成され、組織全体の心理的安全性が高まっていくことになります。

 

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■ アンガーマネジメントやEQトレーニン

議論をしていればどうしても、意見が割れることがあります。

自分はAがよいと言っているのに、相手はBがよいと言っていたら、自分を否定されたような気持ちになるかもしれませんし、それはあまり気持ちのいいものではありません。

ここで「なぜBがいいと考えるんだ?」と相手に尋ねたとします。

この時言葉遣いとして「Bがいいと思う理由を言ってみろ!」 「なんでBがいいだなんて思えるんだ??」といった言葉を選ぶこともできます。

「Bがいいと思う理由を、聞かせて欲しい」といった言葉を選ぶこともできます。

「自分には見えていないことがあるのかもしれない。Bがいいという視点から話をじっくり聞きたい」といった言葉を選ぶこともできます。
   

この言葉のチョイスによって、もちろん相手が話しやすいか、そのあとも冷静に議論を続けられるかは変わってきます。

また、例えば 「Bがいいと思う理由を、聞かせて欲しい」という言葉を使っていたとしても、その言葉に怒気を乗せているか、それとも落ち着いた雰囲気で話しているのか、それによっても、議論の活性度は変わってきます。

それはつまり、心理的安全性が違う、ということです。
   

自分の意見への反論などが出てきた場合に「その場合も、落ち着いた気持ちでいられる」かどうかは、大切な要素になります。

社長や部長といった役職者が、いわゆる「懐の深い」リーダーであるほど、会議の(ひいては職場の)心理的安全性は高くなりやすくなるわけです。だからこそ、管理職や経営陣に向けたアンガーマネジメントやEQトレーニングの研修などが、たくさん行われているわけですね。
     

■ 心理的安全性は「甘え」ではない

心理的安全性を高めていきましょう、という話をすると「厳しさが減って、甘くなるのではないか」と懸念される方もいます。

確かに、なんでも「いいよ、いいよ」としていってしまっては、甘い組織になっていってしまうでしょう。

稚拙な意見が会議に出ても「うんうん、そうだね。大事だね。それでいこう」などとしていたら、それは心理的安全性が高いのではなくで、ただの規律のないだらしない組織になってしまいます。

前述したように、稚拙な意見でも、「意見を述べた」ということ自体は尊重されますが「意見の内容が稚拙である、ということについては丁寧に教える」ことが重要です。そうでなければ、本当にただ甘いだけになってしまいます。
    

また何かにリスクを取って挑戦する、ということを許容することも心理的安全性につながりますが、では「挑戦したけど、失敗しちゃった」というのを責めることもせず放置しておくのかと言うと、これも違います。

リスクを取って挑戦すれば、失敗することはありえます。但し、その場合「なぜ失敗したのか?どうすれば成功できるのか?」と経験から学習していくことは必須です。

上司が部下になにか挑戦させて、部下が失敗してしまった時に「うんうん、いいよいいよ。失敗することもあるさ」と流してしまうようでは、ただの甘い組織になってしまいます。

そうではなくて「そうか、失敗しちゃったか。じゃーなんで失敗したか、次やるならどうしたらいいか分析して報告してね」といった返し方をする必要があります。
        


ご質問に対する回答は以上となります。

いつも最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

 

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[Vol.21 2020/01/28配信号、執筆:石川英明]

 

Vol.21 人事部長という立場から組織変革を推進するためには(後編)



◆◇◆ 今回のご相談内容 ◆◇◆

普段のメルマガでは「経営者の立場で」というものが多いかと思いますが、私は人事部長という立場です。

このような立場から、いかに組織の変革を推進していくか、その注意点などを教えていただければ幸いです。

 
◆◇◆ 石川からのご回答 ◆◇◆

前回のメルマガでは、

A.人事部長は「組織変革」が必要だと考えているが、社長が関心がないケース

について解説していきましたので、

今回は、

B.「組織変革」が必要だと両者ともに考えているが、人事部長は「社長の変化」が必要と考え、社長は「現場の変化」が必要と考えているケース

について、考えてみたいと思います。

 
■ 社長とアプローチが違うケース

 

B.「組織変革」が必要だと両者ともに考えているが、人事部長は「社長の変化」が必要と考え、社長は「現場の変化」が必要と考えているケース

このケースでは、もう少し問題が難しくなります。

例えば、人事部長は「社長のトップダウンが厳しすぎて社員が疲弊している。トップダウンを緩和していく必要がある」と思っていて、社長は「現場のスピード感が足りない。現場の地力を高めないといけない」と思っている、というようなケースです。

このようなケースもよくあります。
 

シンプルに言うと「人事部長はペースダウンをしようとしている」「社長はスピードアップをしようとしている」ということになります。

このような場合では、人事部長の立場としては、 まずは「社長はスピードアップしようとしている」ということを大切にする必要があります。

「社長!ペースダウンしましょう!」と言って通じる相手ならばよいですが、それが難しいことも多いかと思います。

であるならば、あくまで「社長の意向であるスピードアップに沿った提案である」となっている必要があります。

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■ 全体像を提示する

例えば、プロ野球チームで「春先は首位を走っていたのに、夏場以降どんどん成績が落ちて最後は最下位だった」というようなことがあります。

それは一言で言えば 「選手層が薄い」ことによって起こったりします。エース級の選手が、一人二人とケガなどで離脱すると共に順位も下降していってしまうのです。

ということは「優勝をする」ということを目指すのであれば、ただ単に目の前の試合に勝つことだけでなく「選手層を厚くする」というアクションも必要だということになります。
         

これは企業経営にも通じるところがあります。もし、経営のスピードを高めたいのであれば、人材の質と層も高まっている必要があります。

では、人材の質を高めていくということになりますが、これもプロ野球であれば「練習のさせ過ぎでケガをさせた」となってはもともこもありません。

人材一人一人に「適切な負荷」をかけることで、最大の成長を得られるように支援することで、会社の人材の質の平均値を高めていくことができるようになります。

「適切な負荷」に対して現状では「負荷が重すぎる」のであれば(それによって離職者や休職者が出ている状況などがあればなおさら)、負荷を軽くすることが”合理的”です。

負荷を軽くすることによって、むしろスピードアップするということが起こります。

 

■ 実績によって説得する

負荷を軽くしたことによって、部下の成長が早まり、成果が出た。こういった事例を見逃さずに、一つでも発見したらそれを報告することも重要です。

「以前よりも、成果が出ました」「それは負荷を軽くしたからです」

このような成功例を積み重ねることによって、社長に、組織づくりへの理解を深めてもらうのです。
     

トップダウンでストレッチした目標を提示することが、現場のスピードを最速化する方法だ」と思い込んでいた社長が、

「高すぎる目標を提示するよりも、無理のない目標を提示したほうがスピードが上がるケースもあるのか」

トップダウンで提示するのではなく、ボトムアップ的に目標数字を設定させた方がむしろスピードアップすることもあるのか」

などと選択肢が増えてくるようになれば、しめたものです。

このように視野を広げてもらうには、社内の実績だけでなく、他社の事例などによってもアプローチすることができます。そういう意味では、組織開発の仕事を進めようとする人は、常に他社事例に敏感であるべきと言えるかもしれません。
        

「組織が変わっていく」ということが起こるのに、実はポジションは関係ありません。

トップマネジメントの方が進めやすいのは間違いありませんが、どのような立場でも自分から仕掛けていけるものです。そのような例にも私はたくさん接する機会に恵まれてきました。

メルマガの限られた文面でどれほどお伝えしきれたか、という思いもありますが、少しでも参考にしていただければ幸いです。


          

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[Vol.21 2020/01/21配信号、執筆:石川英明]

 

Vol.20 人事部長という立場から組織変革を推進するためには(前編)



◆◇◆ 今回のご相談内容 ◆◇◆

普段のメルマガでは「経営者の立場で」というものが多いかと思いますが、私は人事部長という立場です。

このような立場から、いかに組織の変革を推進していくか、その注意点などを教えていただければ幸いです。

 
◆◇◆ 石川からのご回答 ◆◇◆

ご質問ありがとうございます。具体的な状況までは分かりませんので、ちょっと勝手な想定をしながら、回答をさせて頂きます。

まず組織の変革をしていきたいとお考えであれば、何かしら今の組織の状態に問題意識があったり、「もっとこういう組織の状態にしたい!」という ビジョンをお持ちだったりするかと思います。

そして、人事部長というお立場であれば、まずやるべきこととしては、その問題意識やビジョンについて、社長などのトップマネジメントに共有する、というところになるかと思います。

そして、トップと想いが共有されて「それは問題だな。」「そのビジョンに向っていきたいな!」ということになれば、ほとんど問題ありませんね。粛々とやるべきことをやっていけばよい、ということになります。

しかし問題は「共有してみたものの、同じような問題意識を持ってもらえなかった」という場合や、「そもそもトップマネジメントに問題があると思っているので、ストレートにそれを伝えることはできない」というような場合です。

このような場合に”勝手に”組織の変革を起こしていこうとしても難しかったり、限界もあったりするでしょう。
        

そのような場合には、どういった手順やアプローチが有効となるのか、ちょっと考えてみたいと思います。    

A.人事部長は「組織変革」が必要だと考えているが、社長が関心がないケース

B.「組織変革」が必要だと両者ともに考えているが、人事部長は「社長の変化」が必要と考え、社長は「現場の変化」が必要と考えているケース

大きくこの2つのケースがあるかと思います。今回の相談者様がどちらのケースかは分かりませんので、それぞれのケースでどうすべきか書いていきたいと思います。
         

今回は、

A.人事部長は「組織変革」が必要だと考えているが、社長が関心がないケース

について解説していきます。

 
■ 社長が”組織づくり”に興味がないケース

A.人事部長は「組織変革」が必要だと考えているが、社長が関心がないケース

このようなご相談を受けることは度々あります。私自身、そのような経営者の方とお仕事をするケースも多々ありました。

しかし最終的な決裁権をお持ちの社長が「やろう」と言わないのでは、社内で活動をしていくことも大変難しくなります。(我々のような外部の人間は、そもそもお仕事がスタートしません)

 

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社長が「売上」「利益」「マーケティング」「営業」「顧客満足度」などに興味はあっても、「社員満足度」「離職率」「社員教育」などにはほとんど関心がない、ということはよくあります。

このようなケースの場合は、王道は「社長の思考の枠組みに沿って提案、説得をする」ということです。

離職率が高いことが問題です!社内の制度などを整えましょう!」と訴えても響かなくても「顧客満足度を高めるために、社員定着率を上げてノウハウの蓄積度を上げましょう!」と訴えれば、「それはやってみようか」となることも多いのです。

その「やってみょうか」という言葉をチャンスにして、社員教育を整備したり、評価制度や就業規則などを整備したりしていって、組織づくりを推進していくことができます。

 

■ 社長を巻き込んでいく

実際に組織づくりを推進していきましたら、途中経過なども報告していく必要があります。

顧客満足度を高めるために、社員定着率を上げてノウハウの蓄積度を上げましょう!」と言って、プロジェクトを進めているのであれば、社長に報告すべきは「顧客満足度が高まったか否か」ということになります。

しかし、離職率は低下してきたけれども、顧客満足度は高まっていない・・・というような状況で報告をしなければいけない状況もあるでしょう。

このような場合には「顧客満足度向上につながるにはまだ時間がかかる」ということを説明しなければなりません。
      

ここで重要になってくるのは、BSC(バランススコアカードのような「経営指標の因果関係を整理した図」です。この因果関係を、できる限り論理的に説明し、社長に「その因果関係図は納得感がある」と思ってもらうことが重要になります。

実はこのような「説明」が、組織づくりを推進していく上ではとても大切な要素になります。

関心がなかった社長に対して繰り返し説明を重ねることで「そういう観点もあるのか」「確かにその因果関係も考えたほうがよさそうだな」と視野を広げていってもらうのです。

この部分をサボらずに丁寧に行っていくことで、社長を巻き込んだうえで組織づくりをより一層進めていけるようになるのです。

いかがだったでしょうか。

いつも最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

次号では、

B.「組織変革」が必要だと両者ともに考えているが、人事部長は「社長の変化」が必要と考え、社長は「現場の変化」が必要と考えているケース

について解説していきます。

 

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[Vol.20 2020/01/14配信号、執筆:石川英明]

 

Vol.19 組織づくりは本当に会社の業績向上に繋がるんですか



◆◇◆ 今回のご相談内容 ◆◇◆

組織づくりを行っていくことで、本当に会社の業績の向上にもつながっていくものでしょうか?

 
◆◇◆ 石川からのご回答 ◆◇◆


組織づくりの成果は、例えば販売上の施策ほど、分かりやすくすぐに結果が出ません。

短期間で売上につながらないという意味でも、因果関係がはっきりしない、という意味でもそうです。


例えば、粗利100円の商品が100個売れて、利益が1万円だったところを、値下げをして粗利90円で、商品が200個売れるようになった、利益が1.8万円になった・・・というような販売の施策は、分かりやすく結果が見えます。


しかし、例えば管理職研修を行って、管理職の能力が増した、確かに以前よりも部下からの評判も良くなっている、部下も以前よりもイキイキと働いているようだ・・・というところから、売上・利益が即伸長するのかというと、やはりそうはいきません。


特に1年という「期」で見てみると、「今年行った組織づくりへの投資が、今年のうちに回収された」となるのはほとんど稀だろうと思います。


しかしそれでも、私は「組織づくりは業績向上につながりますよ」と確信を持って言うことができます。

 
■ 組織づくりの成果が出やすい指標

組織づくりの成果が出やすい指標は、売上や利益そのもののよりも、まずは「生産性」という面です。


2020年現在、「働き方改革」という言葉は引き続き流行していますが、働き方改革の基本的な主旨は生産性の向上にあるでしょう。

 

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生産性は、基本的に「利益÷労働時間」で考えることができます。この指標は、経営者にとっても社員にとっても、誰しもが「高めたい」と思える指標です。


今出している1億円の利益を、100,00時間で生み出しているとしたら、単純計算で時給1万円だということになります。

もし、同じ1億円を、80,000時間で生み出せるようになったら、時給は1.25万円になります。

 

この創出された「時給増加分」は、例えば有給消化率を高めることに使えるかもしれませんし、労働時間そのものは維持して、新しい利益創出に使うこともできるかもしれません。

 

■ 生産性向上によるメリットを描く

ここで例えば、有給消化率の向上にその余剰時間を当てたとします。

心身を休めることができて健康度が高まったり、またそれによって業務への集中度が高まったり…というようなことは十二分にあり得ることです。

 

そしてまた、有給消化率の向上によって社員の満足度や会社へのロイヤリティが高まったり、離職率が低下する、ということも十二分にあり得ます。

離職率が低下すれば、採用コストを下げることができ、より会社の利益を押し上げることにもつながります。


また、平均在職年数が向上することで、スキルの内部蓄積がより効率的に行われるようになり、売上の伸長に寄与することもあります。

そうすれば、株主や役員、社員へ金銭的に還元する余裕も増えてくることになります。


このようなストーリーを全社的に共有し、「みんなで生産性を高めていこう!」とするのも、組織づくりの一つの側面です。

 

■因果関係の仮説を整理してみる

「管理職に向けた部下指導力研修を行う」などの組織づくりの一つの施策も、同じように考えていくことができます。


管理職研修を行えば、即売上が伸びる、ということではないでしょう。


しかし、管理職としての能力が高まることで、部下がよりイキイキと仕事に取り組むようになり、成果が出やすくなる、離職率が低下し採用コストが低下する・・・といったことは、十分に因果関係としては考えられます。

 


組織づくりには

「管理職研修を行う」
「評価制度を改良する」
就業規則を改定する」

など様々な面がありますが、どれも売上向上に直結するようなものではありません。


しかしだからといって、本当に業績向上に貢献しないのかというとそんなこともありません。むしろ、その因果関係の仮説を整理して、自社なりのBSC(バランス・スコア・カード)を作成していくことが重要だったりもします。


このBSCの整理があることで、例えば「どのような教育投資が必要なのか」といったこともスッキリと把握できるようになってくるでしょう。

 


実際に会社の業績そのものは、内部の組織づくりだけの影響ではなく、当たり前ですが、市場環境の影響を大きく受けます。

 

ですから「トレーニングをすれば 本当に金メダルが取れるのか?」という問いには100%答えることはできないのと同じように、「組織づくりをすれば必ず業績は向上するのか?」という問いに、100%答えることはできません。


しかし「トレーニングをすれば、金メダルを取れる確率は上がるのか?」という問いには自信を持って、「金メダルを取るためにもトレーニングを積みましょう」と答えられるように、「業績向上ためにも、組織づくりを進めていきましょう」と自信を持って答えることができます。

 


もしスポーツに例えるとしたら、会社の外に向けた(顧客や市場に向けた)マーケティング上の施策は、スポーツでいう、相手チームの分析や、チーム戦術の検討にあたります。


そして会社の内側に向けた(社員に向けた)組織づくりの施策は、スポーツでいう、筋トレや、基礎練習、栄養管理などにあたる、ということができるでしょう。


組織づくり”だけ”をしていても会社の業績が向上することはありませんが、組織づくりも丁寧に行っていくことで、確実に組織は強くなり、それは業績向上にもつながることは間違いありません。

 


ご質問に対する回答は以上となります。

いつも最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

 

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[Vol.19 2020/01/07配信号、執筆:石川英明]