組織のお悩みQ&A

「社員が同じミスを繰り返す…」「会議で活発な議論が生まれない…」「評価制度がイマイチ機能してない感じがする…」「部下が同じミスばかり繰り返す…」 組織運営上のあらゆるお悩みについて、100社以上を支援してきた組織コンサルタントの石川がお答えしていきます!

Vol.66 組織のあり方を見直したいときに、まず経営者ができること

◆◇◆ 今回のご相談内容 ◆◇◆

創業17年、社員数50名ほどの中小企業の社長をやっています。

最近、『Teal組織』を読みました。

今まではそうじゃなかった会社が、これからTeal組織(ティール組織)や自律分散型組織に変わっていきたいと思っても、まず1番最初に、何から手をつけたらいいのかがわかりません。

組織のありかたを見直し、新しい組織の考え方も取り入れていきたいと思ったときに、経営者として、今すぐから実践できることは何でしょうか。

 

◆◇◆ 石川からの回答 ◆◇◆

 

 ■ 多くの会社で社員を繋ぎとめているものは○○

Teal組織などの自律分散型組織が、「個」を尊重しても組織がバラバラに崩壊しないのはしっかりとした組織の求心力があるからです。

この求心力のところを深めずに、単に社員一人一人の自立や自律だけを促進していってしまえば、まさに「分散」の力が強くなりすぎて、組織としては崩壊してしまいます。

 

多くの会社は、「会社と社員をつなぎとめるもの」として【待遇】を用いています。

待遇が、その会社の求心力となっているわけです。

なので、待遇の力が弱くなれば、社員は離れていくことになります。また「もっと好待遇の転職先がある」となれば、それでも社員は離れていきます。

 

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■ Teal組織や自律分散型組織の要となるのは・・・

Teal組織などの自律分散型組織の要となるのは(まさに文字通り要と言っていいと思います)、ビジョンによる求心力です。

言葉としては、ビジョン、理念、パーパス、ミッション、レゾンデートル・・・などなど多数ありますが、その詳細な定義を議論することはここでは避けて、ざっくりと同じような意味だとして扱いたいと思います。


例えば「有機農法を支援することで、日本の食と食文化を守りたい」といった経営理念の会社があったとします。そこには同じような目的意識、ビジョンを持った人々が集まってきて、組織化していきます。

組織の形成期、会社の創業期からこのように始まった会社であれば「ビジョンを求心力として」経営していくことは、難しくないというか、そもそも前提として当然のことになるかと思います。


「Teal組織」「ビジョナリーカンパニー①」で描かれている企業は、そのような企業と言ってよいでしょう。

しかし「今まではそうじゃなかったが、これからそういう会社にしていきたい」という場合はどうしたらよいでしょう?

 

■ 経営者にまずできることは?

 このような場合には「まずは社長自身が、自分自身の経営理念を掘り下げる」ということを個人的に始められることをお勧めします。

どんな事業をしていきたいのか?
社会に対してどのような好影響を与えていきたいのか?
どんな価値が創造できる会社だと喜びがあるのか?

そういったことを、まず自分自身で掘り下げていきます。


この際に、収益は目的として考えずに、手段として考えるようにしてみてください。

「事業を健全に運営するための手段として、利益は必要」
「社員の生活を守る手段として、利益は必要」

という感じです。


そうすると例えば「社員にイキイキと働ける環境を提供したい」とか「お客さんから感謝の声をもらえた時はやっぱり嬉しい」とか、そういったことが出てきたりします。

場合によっては事業ドメインとして、例えば「農業の分野で貢献したい」とか、「不眠症の問題解決に貢献したい」とか、そういったことが出てくることもあるかと思います。


まずはこういったものを社長自身が掘り下げていく。

このことによって会社の求心力となるようなビジョンや経営理念といったものが見えてくるようになってきます。

 

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■ ○○を掘り下げた上で会社の中に落とし込んでいく

自分自身のビジョンや情熱を深く掘り下げていって見えてきたものがあったときに、会社の現状とそれほど乖離がない場合もあれば、かなり違いがあるという場合もあるでしょう。

前者であれば、それほど気にすることもなく、深めた経営理念を、全社的に共有して言ってよいと思います。


もしかなり違いがある、という場合には、数年かけて会社を生まれ変わらせていくことや、覚悟を決めて短期的にドラスティックに会社を変革させることも、検討してみる必要があるでしょう。

いずれにせよ、トップとして「こういう理念を大切にしてやっていきたい」ということを徐々に共有していき、新しい人材を採用する際ににも、理念に共感している人材かどうかを重視して採用を行っていくようにします。


既存のメンバーは「前と違う」「前のほうがよかった」となることもあるでしょうが、これは健全な新陳代謝として捉えることが重要です。

こういった新陳代謝も起こりえますが、そのプロセスを経て残ったメンバーは「ビジョン実現に向かう同志」という面が強くなり、以前と比べてエンゲージメントも非常に高い状態になっているでしょう。

こうしたプロセスを経ることで、組織における求心力が【待遇】から【ビジョン】へと進化していきます。ビジョンが主な求心力となった組織では、自律分散的な動きが、高いレベルで機能しやすくなります。


いつも最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

経営者自身のビジョンや理念を掘り下げる際に、なかなかひとりでは難しいという場合には、手前味噌で恐縮ですが、弊社サービスの活用もご検討いただけましたら幸いです。

こちらのページから基本料金表を含めた資料請求が可能です

 

co-ducation.com

 

  

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[Vol.66 2021/02/02配信号、執筆:石川 英明]