組織のお悩みQ&A

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Vol.33 緊急時の資金繰りについて考えておくべきこと


◆◇◆ 今回のご相談内容 ◆◇◆

新型コロナウイルスによる影響で先行きが見えないのですが、今、経営者としてどのようなことを意識すればよいでしょうか?何か考えておくべきことはあるでしょうか?

 
◆◇◆ 石川からのご回答 ◆◇◆ 

経営者の方が真っ先に悩むことになるのが「資金繰り」かと思います。

これは、一般の社員の方との大きな違いです。

 

今まで多くのビジネスパーソンにお会いしてきましたが、一般の社員の方で「資金繰り」を悩まれる方はまずいません。

そのような職責にないので、当然と言えば当然なのですが。。。

逆に経営者の方は(他にも、人の問題など色々ありますが)資金繰りについては、常に意識を向けていらっしゃいますし、何かあれば真っ先にそのことについて心配をされると思います。

 

業種によって「資金繰り」に対して、影響の大きい要素というのは違うわけですが、比較的どの業種にも共通するところから、今日は書かせていただきます。

 

 

■ 最悪の事態を想定する

市況の悪化によって、売上が減り続けるとなると、損益分岐点を下回って「単月赤字」の月が続くようになることが考えられるかと思います。

言う間でもなく、単月赤字が続けば、いずれ経営は立ち行かなくなってしまいます。

 

そうなった場合に、損益分岐点を押し下げるように「コストを削減する」ということはとても重要になるわけですが、今の状況で、考えるべき要素としては「オフィス賃料」「人件費」というものが出てくるかと思います。

公的な援助社会保険料の支払い猶予や公庫から低金利の融資など)についても活用を考えるのも一つです。


オフィス賃料についてですが、引っ越しをするのにもコストがかかりますので誰でもすぐにできるわけではありませんが、このコロナ・パンデミックを機に「身軽な経営」にシフトしていくことは、検討してもよいだろうと思います。

リモートワーク中心になれば「広いオフィス」の必要性は減ります。「意外とこれくらいの広さのオフィスで十分だな」となるかもしれませんし、業種によっては「全くオフィスがいらないな。。。」となる可能性すらあります。

 

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またロケーション的にも、毎日通勤するのであれば「駅から近い」などの利便性が求められますが、もし「たまの会議に使うのみ」などということになれば利便性の重要性は下がります。

必然的に「賃料の低い場所」が選択肢となりやすくなります。大きな固定費である賃料を下げることは、選択肢の一つとなるかと思います。

これについては「赤字が続いたら」などではなく、今すぐ決断するというのも一つの選択肢と思います。

 

賃料も下げ、支払い猶予などもし・・・それでも収支が厳しいという場合には、人件費を下げることも考えなければならなくなります。経営者にとって苦しいことですが、避けては通れません。

この最悪の事態になった時にどうするのか、その打ち手を何パタンか考えておくとよいでしょう。

 

 

■ 人件費削減のオプション

人件費を削減する場合に

  1. 雇用調整助成金を活用し、社員に休業してもらう
  2. 何人かを解雇する
  3. 全体で平均的に業務量と給与を削減する

といった対応が考えられます。

2とするか、3とするかは、会社としての価値観、考え方によります。

 

この部分については「人件費に手をつけなければいけない状況になったとしたら」ということをあらかじめ考えておいて、自分であれば、まず3を選ぶとか、とにかく1でしのいで、しのげなくなったら2を選ぶとか、その優先順位を自分の中で決めておくことがあるとよいでしょう。

 

賃料や人件費を削減した後も、収支が回復しない・・・という未来はもちろん可能性はあるわけですが、その場合は、できるだけ傷口が広がらないうちに廃業するということも考えておかなければなりません。

オーナー経営者の場合「赤字を、融資で補填しながら運転していく」というのは、個人の借金が膨れ上がるリスクがあります。もし(考えるのも嫌なことですが)廃業するとなった場合、再出発するには身軽(借金が少ない)な方がいいに決まっています。

どこまでの赤字の累積、借金の累積となったら廃業とするのか、そのラインについても覚悟をしておくとよいでしょう。

 

■ 最悪を想定したあとは

最悪なラインを想定したあとは、適切な範囲で「想定した最悪のシナリオと対処法」について社内で共有するとよいと思います。

例えば社員としても「先行きが全く見えない」よりも「半年間はキャッシュは持つ。この半年の間に、半年後以降の売上を作る仕込みができるかが勝負だ」と認識できる、とでは後者の方が心理的に落ち着いてくるものです。

全員が同じようにそれで前向きになれるかは保証はされませんが、経験上、落ち着く人の方が多いものです。


そして「最低はそこだとして、では収益をアップさせるためにどうするか?」という前向きなことを考えていくフェーズになります。

分かりやすいところでは、居酒屋などの業種であれば「これまで通りの商売は成り立たない」ということがありえます。売上のメインを、テイクアウトにできるような大胆なシフトも求められる場合もあるでしょう。

「今後の、顧客の状況、価値観、ライフスタイルなどはどうなるか?」を予測し、冷静に受け止める必要があります。

 

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会社として「急速な市場変化」に遭遇した企業の代表格が富士フィルムかと思います。デジカメの登場によって「フィルム」というものそのものが急速なペースでなくなっていきました。

そして、今も富士フィルム社は健在なわけですが、ここから学べることは多いだろうと思います。


純化して言えば「自社のリソースで売れるものは何か?×市場環境で求められているのは何か?」を愚直に探した、ということです。

当たり前のことですが、この当たり前のことがとても大事なのでしょう。

 

要は「新規事業を考えましょう」ということになるわけですが、この際に大切にしていただきたいのが、三人寄れば文殊の知恵ということです。

例えば「男性壮年経営者」であれば、女性、若者、アルバイト、などの見方、情報、意見などを大切にするということです。

”新規”というものは、なかなか自分の中からは出てきにくいものです。「違った見方」を尊重することで、アイデアが湧いてきます。

 

そしてできる限り小さく早く試してみる。

この「人がリアルに集まるはできない」という状況では、多くのアイデアがオンラインで試されることになるでしょう。オンラインは「小さく早く試してみる」ことがとてもしやすい世界です。

既存の感覚だと「そんなの上手くいかないんじゃないか」というものほど、小さく早く試してみる。反応が悪かったら諦める。

そういう試行錯誤を大量にしていくことも、今後大切になってくると思います。

 

いつも最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

 

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[Vol.33 2020/04/21配信号、執筆:石川英明]