組織のお悩みQ&A

「社員が同じミスを繰り返す…」「会議で活発な議論が生まれない…」「評価制度がイマイチ機能してない感じがする…」「部下が同じミスばかり繰り返す…」 組織運営上のあらゆるお悩みについて、100社以上を支援してきた組織コンサルタントの石川がお答えしていきます!

Vol.37 社員にやりがいを感じながら、会社で仕事をして欲しい



◆◇◆ 今回のご相談内容 ◆◇◆

働くからには、やはり部下にやりがいを感じながら、会社で仕事をしてほしいと思いますが、どうしたら「やりがい」を感じながら仕事をしてもらえるでしょうか。

 
◆◇◆ 石川からのご回答 ◆◇◆

「やりがい」についての周辺研究は、これまでに色々と行われてきました。まず真っ先にご紹介したいのは「フロー体験理論」になります。

 

■ フロー体験理論

フロー体験理論は、集中力についての研究で、人が「没頭する」のはどういう条件が
整った時なのかを研究したものです。

人は没頭した時間に対して、幸せを感じたり、やりがいを感じたりしますから、まさにご質問に対してうってつけの研究の一つと言えるかと思います。


フロー体験理論における没頭する条件のうち、主な3つをご紹介します。


1.目的が明確である

2.能力と難易度のバランスが適切である

3.迅速なフィードバックがある

 

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まず「この仕事の目的は何か」ということを明示します。

目的やゴールが見えないものを頑張ることは、人間にとっては苦痛です。何のためにやるのか、それを「いいから仕事だからやれ」で済まさないようにします。

「この仕事は在庫額を圧縮するためにやるんだよ」や「この仕事は、新入社員が早く会社になじめるように、その為にやるんだよ」といったことが、例えば目的の明示ということになります。

 

もしその目的を聞いて、例えば「どうして在庫額を圧縮する必要があるんですか?」という質問が出てきたとしたら、さらにその上位の目的について説明をする必要があるケースもあります。

また場合によっては、後述するように「本人にとってどんな意味や価値があるか」について腹落ちするようにしないといけないケースもあります。

ただ、まずは「この仕事は、このためにやる」という基本的な目的の明示をすることを徹底するように意識するとよいだろうと思います。

 

やりがいを感じるのに、能力と難易度のバランスもとても大切です。

能力に対して難易度が高すぎれば、人は不安になり、逆に難易度が低すぎれば人は退屈になります。ちょうどいい難易度のこと、歯ごたえがあるぞ、といったことに人は「やりがい」を感じます。

求める成果を高くする、期限を短くする、上司からの支援を減らす・・・といったことをすれば難易度は上がりますし、逆をすれば難易度は下がります。

これらのさじ加減を適切に行うことで「本人にとって、ちょうどいい歯ごたえの仕事」にすることが重要です。

 


もう一つ「迅速なフィードバックがある」ということも、やりがいにとっては重要です。

例えば、報告書を作成して提出した。

・・・でもその報告書を読んで、何を考えたのか、どんな意思決定をしたのかなどのフィードバックが全くなければ「あの報告書、作成した意味あったのか?」となってきます。

それを例えば「報告書読んだよ。良くまとまってた。特に市場調査のところは、中計の策定のインプットにする予定だよ。」というようなフィードバックがあれば「ああ、自分のやったことが役立っているんだ」と実感することができます。


特に部署をまたいだり、階層をまたいだりする仕事は、フィードバックが途切れがちです。

そのような仕事こそ「こないだやってもらったあれは・・・」というフィードバックを、意識して行うようにするとよいでしょう。


より詳しく:

組織開発 用語辞典:フロー体験理論 | 株式会社Co-ducation

co-ducation.com

 

 

■ Strength(才能、強みなど)の発揮

また、やりがいは自分自身のStrength(才能、強みなど)を発揮できていることに感じやすいものです。

 

※参考:Strength Finder

www.amazon.co.jp

 

Strength Finderはぜひ活用していただけるとよいと思いますが、例えばStrengthが「活発性」であれば、「とりあえずやってみる」ということができる小さな実験を素早く繰り返すことができる状態で仕事ができるとよいでしょう。


Strengthが「分析思考」であれば、素早くというよりは時間をかけて丁寧に「本当にそれが正しいか」を分析することができる状態で仕事ができるとよいでしょう。

自分のStrengthに沿って仕事ができたほうが、やりがいを感じやすいのです。

 

 

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やりがいがある、ということは主観ですから、同じ仕事をしていてもAさんはやりがいを感じていて、Bさんはやりがいを感じていない、ということはありえます。

「この仕事をすることに、どんな意味があるのか」を、自分の言葉で語れる状態になっている人は、やりがいをもって働いているわけですし、自分の言葉で語れないとか「仕方なくやっている」という状態である人は、やりがいをもてずにいるということになります。


「営業に異動になったけど、やったことのない仕事だから、新しい経験が出来てどんどん成長していけそうだぞ」と思っている人は、やりがいを感じれます。

「営業に異動になったけど、希望してない仕事だし、やったことない仕事だし、早く元の部署に戻りたい・・・」と思っている人は、やりがいを感じられません。


このような状態の社員に対してできるアプローチは二つあります。

 

ひとつはティーチングです。「この経験は、あなたにとってこんな意味がある」ということを教えてあげるということです。

「長いキャリアで見ると、色んな職種を経験していることで、より良い仕事ができるようになるよ」「営業をすることで、お客さんのニーズがよく感じられるようになるよ」・・・などと、こんな意味や価値があるよということを伝えて、視野を広げてあげるということです。


もう一つはコーチンです。問いかけて、自分自身で考えてみてもらいます。

例えば「希望していない異動だったかもしれないけど、後で”営業の経験はすごく意味があった”と思えるようにするには、どう過ごしていくのがよいと思う?」と問いかけます。

そうして「・・・お客さんに直接触れて、細かいニーズとかがよく分かるかもしれない。開発に戻った時に武器になりそうだ」「営業がどうして無茶なお願いをしてくるのかが分かるようになるかもしれない」などと、本人が自分の言葉で言えば、それはそのまま、その仕事をやる意味、やりがいに直結してきます。


ティーチングをしても「・・・」となって全く納得しないとか、コーチングをしても本人からの言葉が全然出てこないというようなこともありえます。

そのような場合には不満や、不安をまずは聞いて、それを消化するということが、前段として必要だということもあるかと思います。

 

  1. 目的を明確にする
  2. 適切な難易度にする
  3. 迅速にフィードバックする
  4. Strengthを発揮できる仕事にする
  5. 意味についてティーチング・コーチングをする

この5つを社内で徹底することができれば、かなりの程度、「社員がやりがいを感じて仕事をしている」会社にすることができるでしょう。

 


ご質問に対する回答は以上となります。

いつも最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

 

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[Vol.37 2020/06/10配信号、執筆:石川英明]